事業等のリスク

当社グループの事業展開、経営成績などに関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。また、当社グループとしては必ずしも事業上のリスクと考えていない事項についても、投資家の投資判断、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力を行なう所存であります。

総合エンターテインメント事業

興行場法などの規制に関する影響について

リスク

当社グループの運営する劇場の施設運営及び各アーティスト等の活動の場所となる施設等は「興行場法」及び関連法令による規制を受けております。その内容は、興行場の営業者は、施設を各都道府県などの条例で定める構造設備基準及び衛生管理基準に適合させることが義務付けられており、新たな法令の制定、同法及び関連法令の規制内容の変更などがなされた場合、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

  • 運営施設及び利用する施設に関する同法及び関連法令の規制を遵守しつつ利用しております。
  • 施設利用時の契約内容等の精査を行っております。

ライブ・イベントの企画、制作業務に関する業界の慣行について

リスク

ライブやイベントの制作は、企画、制作、運営及び管理など各工程によって構成されております。企画を立案し関係者との打合せを経て、制作から本番となる運営工程に進みますが、制作及び運営工程(開催期間中含む)において、ライブ・イベントの主催者からの追加発注や仕様変更の要請があるなど、直前に実施内容の変更などが行われることがあります。このように当初の基本計画からの内容変更などにより、予算金額からの変動が生じる場合があります。
また、イベント主催者側の広告費の削減や広告代理店の変更などにより、ライブ・イベント自体の受注がなくなることもあり、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

  • 各主催者側との連携を密にとることによる、スケジュールの確認・調整の徹底を図っております。
  • 代替案の想定等をしております。

アーティスト及びタレントについて

リスク

当社グループは、コンテンツホルダーとして保有するアーティストやタレントなどの権利を様々な事業へ活用しているほか、他社が保有するアーティストやタレントなどをクライアントへ紹介、仲介するキャスティング業務を行っております。当社グループ所属のアーティスト及びタレントは勿論のこと、他の芸能事務所等に所属するアーティスト及びタレントに関しても、当社グループがマネジメント業務を行う場合は基本的に「専属契約」を締結しております。
当社グループでは、長期的なマネジメントを行うことを前提としておりますが、アーティストやタレントとの専属契約が更新に至らなかった場合や取引先との契約違反等によるトラブルが発生した場合、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

  • 所属するアーティスト及びタレント並びに関係会社との定期的な面談・交渉等を実施しております。

アーティスト及びタレントビジネスについて

リスク

当社グループで行うプロダクション事業は、基本的に人気の上昇や低迷のほか、ヒット商品の有無により、その影響を受け易いビジネスモデルです。消費者の趣味、嗜好、流行などのニーズの多様化が進む中で、市場環境の変化も相まって、必ずしもヒットコンテンツが生み出される訳ではないため、消費者ニーズの変化などにより、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。
また、当該本人の怪我や不祥事等による引退・活動休止等が発生する可能性や、当社及びコンテンツホルダーの事業戦略上の都合により、出演や活動を抑制した場合のほか、取引先との間で既に締結した契約を解除される可能性もあり、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

  • 継続的にコンテンツを創出するべく様々な企画・提案を行うなど、新人アーティストやタレントの発掘、育成、マネジメントの体制を構築しております。

著作権等の知的財産について

リスク

当社グループで行うプロダクション事業は、アーティストの楽曲などに紐づく著作権や当該本人等の肖像権のほか、契約等によって取り決めのある各種知的財産権の権利物を扱っておりますが、第三者の権利を侵害してしまう可能性や、第三者から意図せずに著作権を侵害される可能性があり、このような場合、損害賠償等に係る訴訟に発展する可能性もあり、当社グループの運営及び社会的信頼に影響を与える可能性があります。

対策等

  • 権利物を扱う場合には、権利関係の事前調査や顧問弁護士等への相談を徹底し、第三者の知的財産権等の権利侵害が発生しないように努めております。
  • またリーガルチェックを経た契約書による取り決めを行う等の事前対応を行っております。

映像制作事業

テレビ広告収入への依存による影響について

リスク

当社グループが運営する映像制作事業の収入源は、主に地上波放送事業及びBS放送事業を展開する在京キー局等の番組制作費から支出されるもので構成されております。在京キー局等の売上高の大半は、広告収入で構成されておりますが、広告の出稿金額及びサイクルは、広告主である企業の運営やその背景となる国内景気の影響を受け易く、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

当社グループが運営している映像制作事業は、多岐に渡る様々な放送局及び映像配信プラットフォームとのリレーション創りによって、特定の放送局に依存しない事業展開を行っております。

メディアの多様化による影響について

リスク

テレビ放送事業においては近年、情報技術革新とデジタル化の波を受け、多くの家庭で高速通信回線の普及が進み、ケーブルテレビやインターネットを通じた映像視聴環境が整ってきたほか、スマートフォン及びタブレットといった新たな携帯型高機能端末が定着し、通信機能を通じた動画配信など、映像コンテンツへの接触機会は、ますます拡大しております。こうしたメディアの多様化により、若年層を中心にテレビ放送の視聴時間が減少傾向にあるなど、テレビ放送の媒体価値が低下することにより、当社グループの運営に影響を及ぼす可能性があります。

対策等

当社グループにおいては、昨今若年層を中心に拡大が顕著であるインターネットを通じたメディアプラットフォームへの映像コンテンツの供給を開始しており、裾野を拡げております。

放送法などの規制に関する影響について

リスク

当社グループが運営する映像制作事業は、在京キー局複数社と取引を行っておりますが、取引先である在京キー局においては、放送事業を行うにあたって放送法・電波法などの法令による規制を受けております。また、在京キー局は認定放送持株会社制を採用されておりますが、認定放送持株会社は、総務大臣の認定を受けることが必要であります。当該認定を受けるためには、認定放送持株会社の資産に関する基準など、放送法で定める要件に適合する必要があり、これらの要件を満たさない場合、総務大臣から免許や認定の取り消しを受けるリスクがあり、また、新たな法令の制定、同法及び関連法令の規制内容の変更などがなされた場合、在京キー局の運営や動向によっては、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

当社グループが運営している映像制作事業は、多岐に渡る様々な放送局及び映像配信プラットフォームとのリレーション創りによって、特定の放送局に依存しない事業展開を行っております。

労働者派遣法

リスク

当社グループで展開している人材派遣事業は、国内においては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)に基づき、労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業であります。労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う者が、派遣元事業主としての欠格事由に該当し法令に違反した場合には、事業許可の取り消し又は事業停止等を命ぜられる可能性があります。

対策等

当社グループでは、法令はもとより、社内諸規程の制定やガバナンス体制の構築、内部統制やグループ監査による体制を整備し、徹底した社内啓蒙に努めることで、法令違反等の防止に努めております。

広告代理店事業

広告媒体の構造変化によるリスクについて

リスク

当社グループは、様々なメディアを活用した広告事業を展開しており、いわゆるマス4媒体広告と言われる新聞・雑誌・ラジオ・テレビのほか、近年ではインターネット広告が、このマス4媒体を超える規模になってきておりますが、インターネットを活用した広告媒体は、新たな広告手法として、様々な媒体との親和性、相乗効果が高まるものと考えられ、当社グループとして、YouTube等のSNSを媒体としたインターネットを活用した広告事業を開始しております。しかしながら、当社グループを取り巻く環境は常に変化しており、急速な技術革新による様々な構造変化が起きております。このような状況のもと、当社グループで適切な対応ができない場合や新技術に対応するための新たな支出などが発生した場合、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

当社グループでは、特にインターネット広告事業及びインターネットメディア事業(アフィリエイト等に代表されるような成果報酬型広告事業)のノウハウを有する事業分野を展開しており、あらゆる媒体に対する情報収集を徹底しております。

広告メディア(媒体)との関係について

リスク

当社グループの広告代理店事業は、マスメディア各社が運営するメディア(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ及びインターネット)の広告協力によって、支えられております。メディア各社の広告ニーズなどの変化や運営及び市場動向によっては、継続的な取引が保証されているものではないため、当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

当社グループが運営している広告代理店事業では、多岐に渡る様々なマスメディア各社とのリレーション創りによって、特定のメディアに依存しない事業展開を行っております。

その他

ソーシャルメディアポリシーについて

リスク

当社グループは、「✕(旧)Twitter」「Facebook」「Instagram」等の、所謂ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という。)を通じて、当社グループと関わり合うあらゆるステークホルダーと適切に情報共有を行い、マーケティングコミュニケーションを促進し、事業活動の活性化を目的として、SNSを活用しております。また、所属するアーティスト及びタレントについても、SNSのほか、「YouTube」や「TikTok」などの所謂動画共有プラットフォームを活用して、その活動及び各個人の私的活動においても、ファンとの交流やコミュニケーション等の一環として、SNSの利用を推進しております。
SNS上では、発信した情報や当社の情報等が、本来の主旨とは異なる形や受け取り方次第でネガティブな情報として拡散する可能性があり、その場合当社グループに所属するアーティスト及びタレントの活動に影響を及ぼす可能性や、運営及び社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。

対策等

当社グループでは、ファンやお客さまを始めとする社会からの信頼を、その事業基盤としていることを踏まえ、職務上はもちろん、会社を離れた私的活動においても、この信頼を傷つけないよう、SNSに情報発信をすることによる、当社グループならびに個々人の責任と影響を十分に認識したうえで、情報発信や対応を行うために、SNSの取り扱いに関するガイドラインを作成し、所属するアーティスト、タレント及び従業員への社内啓蒙を行っております。

特定の取引先・協力先との関係について

リスク

当社グループの新規事業においては、その事業安定の早期化や確実性の向上、協業によるシナジー創出による独自性の確立のため、特定の取引先とのリレーションを軸にして、その事業を推進するものがあり、取り組み如何では当社グループの運営に影響を与える可能性があります。

対策等

こうした関係においては、単純な収益メリットのみならず、双方の事業メリットを図るWin-Winとなることを前提としたスキームを構築するよう努めるほか、相手方の経営方針の変更などのリスクを保全した契約を締結するよう努めております。

のれんの減損リスクについて

リスク

当社グループは、連結財務諸表について国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)を適用しております。IFRSについては、日本において一般に公正妥当と認められる会計基準とは異なり、のれんの定額償却は不要となりますが、一方、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が生じ、回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理が必要となる可能性があります。また、日本基準ではのれんの償却が規則的に行われるため、時の経過に伴いのれんの残高は減少し減損リスクも小さくなりますが、IFRSではのれんの償却が行われないため、減損リスクは将来にわたり残り続けることになることから、減損処理を行った際の損益に与える影響は大きなものとなる可能性があり、当社グループの運営及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

対策等

財務・財政状況はもちろんのこと、連結子会社に係る運営・運営動向等に関する監視及び運営管理に関する監査等を通じて、減損リスクを最小限に抑える取り組みを実施しております。

人材の育成及び確保について

リスク

当社グループが強みとしているエンターテインメント運営ノウハウを活かすためには、全社員が当社グループ理念を共有するだけでなく、顧客満足度の追求や効率的な運営手法に対する深い理解を身につける必要があります。
しかしながらサービス業界全体を通して見ても、企業間の人材獲得競争は激しさを増しており、当社グループにとって重要な人材を十分に確保できない場合、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。

対策等

新入社員及び中途採用社員への教育・研修制度の充実、従来の年功序列型賃金体系の見直しや昇給昇格などの制度の見直しを図るほか、女性に向けた勤務体系やキャリアパスなど、多様化する働き方にあった優秀な人材の確保・育成及び職業環境のさらなる良化に尽力しております。

感染症等のパンデミックに関するリスク

リスク

今般の新型コロナウイルス感染症拡大による影響については、国民生活及び国内外経済において極めて厳しい状況が続くことが想定されており、収束時期や感染拡大の懸念についていまだに不透明感の強い状況にあるため、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
この他にも、世界的にはコロナウイルスより強いとされるウイルス感染の報告がなされており、それに併せて国内外の社会経済活動への影響が世界経済を下振れさせるリスクがあり、また、金融資本市場の変動等の影響によって、当社グループの運営及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

対策等

当社グループとしましては、このような状況下においても企業としての社会的責任を全うするべく、従業員及び顧客企業の安心・安全と健康確保及び感染拡大防止の観点を重視しながら、事業を継続させるべく様々な対策を講じております。所謂テレワークを推奨するべく「在宅勤務規程」を新設し、自主勤務管理によるスーパーフレックス制度の推進を始め、「オフピーク通勤制度」やリモートによるWeb会議、Web営業の実施など、考え得る対策に取組みながら、影響を最小限に抑える活動を行っております。